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#8 卍は胸毛?目黒・蟠龍寺

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夏もそろそろ終わってほしいくらい暑い日が続きますね。 今回は東京・目黒、蟠龍寺に行ってきました。

蟠龍寺の玄関を開けて…

JR山手線/東急目黒線「目黒駅」から徒歩約10分ほどに位置する蟠龍寺。

大圓寺沿いの下り坂を駆け抜けて行きます。(ということは帰りは上り坂…)

住宅地の中にある蟠龍寺はどこか、ひっそりと構えているお寺。玄関を開け、「こんにちは」と声をかけると、出てきた瞬間から滲み出る副住職さんの感じの良さ…!

「本堂を拝観できますか?」と伺うと、「どうぞどうぞ!」と気前よく案内していただけました。

まさに豪華絢爛なご本堂。 外陣からひっそり拝んでいると、「どうぞどうぞ、内陣まで入ってご覧ください」と言っていただき、恐る恐る近づく… 「正面までどうぞ、近くに寄ってご覧ください。お写真も撮っていいですよ!」とお声がけいただき、なんて幸せなんだ…!!

ご本尊の阿弥陀如来坐像。見てください、この胸元の卍。

まじ卍だ!!

実はこの胸の卍、他にも何体か存在するらしく、愛知の栄国寺や海徳寺、京都の安楽寿院、奈良の浄瑠璃寺などが挙げられます。 (海徳寺のものは逆卍)

胸の卍は胸毛の証?

そもそもこの胸の卍というのは、ヒンドゥー教(インド神話上)の神さまであるヴィシュヌ神の胸毛の形を表してるそう。(胸毛〜〜!)

ヴィシュヌ神は、インド神話上では、最強の神さまとして、世界が脅威にさらされたとしても、世界を維持する維持神として君臨するとされていて、10の化身を持つと言われているのですが、実はその1つがブッダ(=釈迦)なのだそうです。

化身が釈迦と言いますが、この蟠龍寺のご本尊も、先に挙げたお寺の仏像もみな阿弥陀さまなんですね。それってなんだか不思議。

ちなみに、わたしの好きな降三世明王がシヴァとウマというインド神話の神夫婦を踏みつけている話は「#4 空海が込めた思いは現代へ。特別展 国宝「東寺」空海と仏像曼荼羅」で書きましたが、このシヴァというのも、ヴィシュヌと並ぶインド神話上の最高神なのです。

こうやって、関係性とか、背景が見えてくるのも仏像拝観のおもしろいところです。

こちらの、阿弥陀如来像は平安末期から鎌倉時代の寄木造のお像。蟠龍寺の歴史は300年ほどのお寺だそうで、このご本尊は別のお寺から移されたものだそうです。 光背は、本来別の像で立像に使われていたものらしく、こちらは壁にかけている状態だとか…。



日本とパリをつなぐ大仏

そして、これはなんともロマンあるお話を伺ったのですが、パリのセルニュスキ美術館 に4mほどの坐像の大仏さまがいらっしゃるそうで、研究員の方がその大仏さまを調べた結果、実はそれが蟠龍寺のものと判明したのだそうです。

日本の仏像(しかも大仏!)が、海を渡りフランス、パリへ。 なんとも、ロマンある話じゃないですか?

こうした軌跡を聞くと、とても心温まる気持ちになります。

御朱印

すんごいバランスの良い髭文字。 そして全体的に達筆というか、美しい字です…! 個人的に、仏像を巡る主目的のもと、御朱印もいただくようになりましたが、いつしか御朱印の文字のバランスや、文字の太さ、かすれ具合、全体的なデザインを見るのが好きになってます。 蟠龍寺の御朱印は、ここ最近でもお気に入りのデザインです。

ちなみに、御朱印を待っている間、とってもかわいい猫ちゃんが遊んでくれました。 はぁ、もう全部最高…

おわりに

蟠龍寺さん。副住職さんがとっても丁寧で穏やかな方で、コミュ障溢れる私はもう玄関を開けて、声をかけることもかなり勇気を振り絞ってるくらいなのですが、本当に良くしていただいたので、今年拝観した中でも、1、2を争う優しいお寺でした。

しかもなんと、ご本尊とのお写真も撮っていただき、心踊る思いです!!
仏像の写真を撮れることすらもう歓喜乱舞ですが、一緒に撮ってもらえるなんて感激を通り越す思いです。 (しかも、「ご一緒に撮りましょうか?」と声をかけていただいたので、コミュ障大感激です。私からは絶対に言えなかった…)

素敵でオススメの蟠龍寺さん。 ぜひ、一度みなさんも拝観に行ってみてください。

蟠龍寺
浄土宗 霊雲山
住所:目黒区下目黒3-4-4
アクセス:JR山手線/東急目黒線「目黒駅」徒歩で10分
     東急目黒線 不動前駅から徒歩で10分
拝観時間:9:00〜17:00
拝観料金:なし

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