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#6 これぞ優美 北鎌倉の水月観音像

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北鎌倉といえば、円覚寺が有名ですよね。

今回私が訪れたのは、その円覚寺をさらに進んだ先にある東慶寺というお寺。

東慶寺は、昔、女性から離婚を切り出せない封建時代に、女性を匿う所謂駆け込み寺として活躍したお寺です。


必見の水月観音菩薩

見所は優美で厳かな雰囲気を放つ水月観音(すいげつかんのん)像。
拝観は、1日に9時半と14時半の2回だけ。電話で事前予約を行わなければ見ることができない貴重な仏像。 ちなみに前日の午後に電話をしましたが、問題なく予約することができました。

集合場所に着き、本堂奥にある水月堂に。 左に聖徳太子二歳像、右に釈迦誕生仏を構え、真ん中に、水月観音菩薩半跏像が鎮座されています。

ひとことで表すと「綺麗」「優美」「妖艶」…とりあえず美しい…!

想像していたよりは小さな像で、寄木造の玉眼。鎌倉時代、13世紀の作品。
江戸時代までは、宝冠やかんざしが付いていたものの木造の傷みを懸念し今は外したお姿をされています。

この水月堂は元は加賀の前田家の仏堂として使われていたお部屋で庭眺めの良い畳部屋。堂内のデザインも特徴的で、月と雲で構成される欄間が美しく、堂内全体が水月観音を演出しているような雰囲気を醸し出しているのがとてもイイ。

この水月観音の特徴的な姿勢は、中国・南宋時代に流行ったものとされていますが、日本、特に西側(京都や奈良)ではあまり見られず、鎌倉周辺にとどまる特徴だそうです。
横須賀の清雲寺の滝見観音菩薩遊戯坐像なども、類似の造形ですが、くつろぎつつも趣のある姿勢はなんとも優雅で美しい。

堂内の見学時には「どうぞ、お近くに寄ってご覧ください」「お時間許す限り見ていただいて構いませんよ」と優しく声をかけていただき、じっくり時間をかけて拝観できました。

水月観音や水月堂についても丁寧にご説明いただき、とても心温まる時間を過ごすことができました。

(私と同僚の3名で伺ったのですが、予約していたのも私たちだけだったようで、よりゆっくり拝観できたのかもしれません。どちらにせよ、ホスピタリティ溢れるご案内をいただきとっても幸せでした…)

御朱印

ご朱印は入山前に預けることができるので、帰り際にはスムーズに受け取ることができますよ。

ということで、鎌倉に旅行を考えている方は、長谷寺の寺伝とともに、十一面観音象拝観、時間があれば、北鎌倉まで行き、水月観音の拝観(要予約)がおススメです。

おまけ

余談ですが、水月観音といえば、ネルソン・アトキンズ美術館の水月観音が有名ですよね。
(どこやねんって調べたらアメリカ〜〜) で、これ、何がずるい、ってこの展示方法。
仏画の前に、仏像…しかもこの姿勢。世界観を感じるし、色使いも素敵…
東慶寺の水月観音は女性感が強いですが、ネルソン・アトキンズ美術館は、膝の立て方や眼光も含め、男性的な強さを感じます。
スタイルの良さが中国的ですよね。

なんかもう全知全能って感じがする (写真撮影もOKで入場無料らしい…行きたい…)


東慶寺
臨済宗円覚寺派 松岡山
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内1367
アクセス: JR横須賀線 「北鎌倉駅」徒歩4分
拝観時間:8:30〜16:30
拝観料金:200円

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