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【美術展記 #6】驚異の一族「ハプスブルク展」に行ってきた



10月も終わり、暑さ残りまくりの上野。

国立西洋美術館で開催されている「ハプスブルク展」に行ってきました。

普段なら、なかなか行かない西洋美術展。
今回のテーマは「ハプスブルク」ということで、「ハプスブルクは朽ち果て〜」とトートの歌が頭をよぎるスーパー宝塚脳の私は、こうしてはじめての国立西洋美術館を体験してきました。



行く前に見るWebCMのススメ

まず、何より、WebCMがイイ。
Aimerの、マリー・アントワネットを題材に書き下ろした「marie」というテーマ曲。
ハプスブルク展の雰囲気を見事に表し、自ずと何度も聞いてしまうような、中毒的にそそられる曲感がまさに、マリー・アントワネット。
ハプスブルク展が気になっている人は、このWebCMを見て気持ちを高めて臨むのが絶対的オススメ。


「ハプスブルク展」Web限定CM(イメージソング:Aimer「marie」)



ハプスブルク家のコレクションの始まり

まずは入り口。
出口は別になるし、展示内も撮影禁止なので、写真を撮るなら、この地下入り口しかないので、是非おさえておきたいところ。

中に入りフロアを降りると正面に広がる2幅の巨大なタペストリー
中央に並ぶ4体の甲冑。そして周りを囲むように工芸品と絵画が壁沿いに並びます。 個人的には、ハート形の容器やフォーク、スプーンなど、絵画より工芸品に目を奪われました。うーん、やっぱりいいよなぁ、この日本にはない装飾。


青いドレスの王女

そしてリーフレット一面に象徴される《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》が展示される第3室。

(購入したポストカードより)


スペインの画家、ディエゴ・ベラスケスの作品で、同作家の作品として、フェリペ4世や、イサベルの肖像も同じ空間に並びます。

信じられないくらいややこしい家系図を持つのがハプスブルク家の特徴なんですが
フェリペ4世とイサベルは夫婦で、マルガリータはフェリペ4世の子供であって、イサベルの子供ではないのです。
つまりこういうこと。↓

さすが、近親婚のハプスブル家。
ややこしさ小学生が作ったオリジナル迷路級。

そして、《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》と対になるように、横には《緑のドレスの王女マルガリータ・テレサ》の肖像画が飾られます。

これは、ディエゴ・ベラスケスの作品ではなく、フアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソによって描かれたもので、鮮やかな青と対極的に、明るさを抑えた緑はくすんだようにも見え、マルガリータの目にもどこか影を感じます。

マリー・アントワネット

(購入したポストカードより)


さすがマリー・アントワネット
というべきか、一際大きく飾られた肖像画。
《フランス王妃マリー・アントワネットの肖像》
フランスの有名な女性画家、マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブランによって1778年に描かれたもので、故郷のマリア・テレジアに贈られたとされる肖像画。

同作家のマリー・アントワネットといえば、1785年に描かれた《フランス王妃 マリー・アントワネット》
実に7年後の姿で、背景や構造は同じものの、少しふっくらとした姿で描かれており、比較して見てみるのもおもしろいですね。



エリザベートの世界

展示も終盤。
ここがまさにエリザベートの世界。
こう見ると、エリザベートの舞台が、まさにハプスブルクの最期なんだ、とひしひしと感じます。

(購入したポストカードより)


ヴィクトール・シュタウファーの《オーストリア・ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像》は、すでに年老いた姿で、 エリザベートと結婚した、当時の真摯な青年の姿ではありません。

そして、エリザベートは、ヨーゼフ・ホラチェクの《薄い青のドレスの皇妃エリザベト》の肖像画が飾られます。

(購入したポストカードより)


宝塚エリザベートとして馴染みがあるのは、ドイツの画家、ヴィンターハルターが描いた《オーストリア皇妃エリザベート》だと思いますが、 これはこれでまた違ったエリザベートの印象を与えてくれます。

どちらかといえば、キリッとした顔立ちで鼻先の丸みと、有名な腰の細さが目立ちますね。

時系列でいうと、ヴィンターハルターの《オーストリア皇妃エリザベート》は1865年(エリザベート28歳)、
今回展示されているヨーゼフ・ホラチェクの《薄い青のドレスの皇妃エリザベト》は1858年(エリザベート21歳)。
1858年というと、ちょうどルドルフが生まれた頃で、気強くゾフィーと戦っていた時代。
ルキーニが「4年目にとうとう、子供たちを取り返し、皇帝夫婦はハンガリーへ旅に出かけた」と歌う、第12場、「夫婦の絆」を過ぎた頃。

やっぱり、美術と背景は時系列を追うとなかなか奥深くておもしろいです。

混雑レベルは?

そんな感じで上野を満喫。
実は2回行ったわけで、1回目は平日14時半ごろ、2回目は11/3、文化の日。
文化の日は、国立西洋美術館を含む、いくつかの美術館や博物館の常設展が無料。
(ハプスブルク展は企画展なので、関係ないのですが。)

混雑レベルでいうと、平日のチケットカウンターは5分ほど並び入場。中はほどほどに人はいるものの、全然見えない!というほどではなかったです。

一方、文化の日。日曜日、これがスゴイ。10時にチケットカウンターに並ぶものの、購入は意外にすんなりほぼ待つことなく行ける。
問題は中。ごった返しである。

比較的前が溢れていたのは、マルガリータや、マリー・アントワネット、エリザベートといった、おなじみどころ。
やはり、宝塚、東宝パワーなのか…

グッズなども堪能し、外に出たのが11時ごろ。チケットカウンターは長蛇の列。 文化の日だからか、日曜日だからか…休日の鑑賞はもう少し遅めに行くのが良さそうです。

ちなみにチケットはこんな感じ。

博物館や美術館に行くと、必ず企画展のチケットを入手し、コレクションしているのですが、ここ数年の間に東京国立博物館は、ランダムの共通デザインになってしまい、私はいつも前売りを買っています。
ちなみに六本木のサントリー美術館も当日チケットは、共通デザインのチケットなので、チケットコレクションする人は要注意。

その点、国立西洋美術館は窓口で企画展デザインのチケットを発券してもらえるので、良心的。

おわりに

さて、10月19日にはじまった今回の「ハプスブルク展」。会期は来年の2020年1月26日までと、まだまだ長い。
実は、展示はハプスブルク家が収集したコレクションが半数を占め、「ベルサイユのばら」「エリザベート」「1789」といった、宝塚、東宝ミュージカル経由で、ちょいと覗いてみようかな。という人にはいささか物足りないかもしれないです。
実際私も流入経路は宝塚で、西洋美術に関しては全くのド素人なので、絵の良し悪しはあまり分からなかったのですが、とは言っても少ないハプスブルク知識と歴史を胸に臨むと、普通におもしろかったので、興味のある人は1度鑑賞に訪れてみてはいかがでしょうか。


ぜひ。



日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展
600年にわたる帝国コレクションの歴史


会期  :2019/10/19(土)〜2020/1/26(日)
会場  :国立西洋美術館
   東京都台東区上野公園7-7
アクセス:JR「上野駅」(公園口)徒歩1分
     京成電鉄「京成上野」駅 徒歩7分
     東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」 徒歩8分
開館時間:9:30〜17:30
    (金・土曜日は20:00まで。)
     ※入館は閉館の30分前まで
休館日 :毎週月曜日(変動あり)
料金  :一般  ¥1,700
     大学生 ¥1,100
     高校生 ¥700

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