#9 福井の古刹「明通寺」
福井に来たらどこに行きますか?
所用で福井に降り立ち、嶺南の地、小浜にある明通寺に行きました。時は12/31。そう、大晦日です。
("嶺南"とは、福井の中でも敦賀市、小浜市、三方郡、大飯郡、三方上中郡を指し、若狭町は三方上中郡に含まれる)
小浜「明通寺」
元アメリカ大統領と同じ名称の小浜(おばま)市に位置する明通寺は、アクセス情報にタクシーや車での交通を積極的に進められているほど、なかなかの山中にあります。
確かに車窓を眺めると、山奥と田んぼ。これはなかなか苦しい。
1段、また1段と階段を登り、500円の拝観料と、御朱印帳を預け、本堂に向かいます。
本堂の中に入ると、ご住職がお寺や仏像のことを丁寧に説明してくれました。
(大晦日のお忙しい日にすみません…)
明通寺は、本堂や三重塔が国宝にも指定されている古き良きお寺。
ご本尊は、平安時代の作品とされる薬師如来坐像で、淡々とした表情が特徴的です。グッと下を見つめる目は、信仰に訪れる人々を真剣に捉える眼差しにも感じられます。
巨大な「降三世明王」
なんと言ってもお目当ての降三世明王。
降三世明王ファンとしては、1度は訪れたかった場所がこの明通寺。
過去、東寺、醍醐寺、仁和寺の降三世明王を見てきたけど、かなり大きい
そう、とっても大きいこの降三世明王像。
252.4cmというその大きな身体は、ぐっと背筋が伸びるほどの迫力があります。
檜の木からできた一木造りで、現在は重要文化財(旧国宝)に指定されており、作者不明の平安後期の作品。
木の味が良く出ており、スタイリッシュな東寺降三世明王像よりも大きい分、ガタイの良い肉体派な印象です。
台座となっているシヴァ神もウマ妃も寝転び、シヴァは口を開け、悲痛な表情。一方でウマは安らかな表情で支えています。
この点は、東寺降三世像とも共通する表現ですね。
降三世明王比較
春先に東京国立博物館で開催されていた東寺展で購入した降三世明王像のポストカードと見比べてみると、東寺降三世明王像の方がスタイリッシュ。
持物はほぼ同じで、唯一違うのは右手。東寺像が三鈷杵に対して、明通寺像は三鈷鈴。
東寺像の服の裾は、綺麗にぶわっと広がっており、しなやかで美しい。
反面、明通寺像は服全体の裾といいより裾の一部が左右ともに翻る感じで、無骨な印象でした。
どちらかというと、万人受けするイケメンが東寺像とすると、筋肉的で着飾らないタイプで好きな人が好きなのが明通寺像って感じでしょうか。
明通寺の御朱印
ご本尊の薬師如来の御朱印をいただきましたが、明通寺の御朱印は全3種ありました。
まとめ
福井は特段、仏像が目立つ土地というわけではない印象なのですが、こうして見ると、西明寺を訪れた際にも感じた、お寺や仏像に、時代を感じる趣深さがありました。
都会の喧騒からは少し外れて、時間の流れがゆったりとした空間に足を運びたい人にはぴったりだと思います。
(立地はなかなか行きづらい場所にはありますが…)これを機にぜひ一度参拝してみてください!
明通寺
真言宗御室派 棡山(ゆずりさん)
住所:福井県小浜市門前5-22
アクセス:JR小浜線「 東小浜駅」下車 タクシー10分
拝観時間:9:00~17:00 (12月~2月は16:30まで)
拝観料金:500円